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なにかに導かれたようにふと顔をあげると月明りが瞳に入る。その一瞬の感受は私の気持ちが暗示される。道長をはじめ満月を愛する権力者は多いが、彼らの満ちる感情を盃に揺れるのを眺めれば、至極悦の究にはまるのだろう。私は三日月を好む。三日月のなまめかしい妖しい姿に惹かれてしまう。宵の明星の隣りに陽を浴びるように佇むナチュラルさは女性に生まれた喜びに満ち溢れた淑女が如く、真っ直ぐに男性を誘う。隠された私の真実なのだろうか。直感はとにかく当たる。決断の時無意識に月明りを探してしまう。理論を排除する場合はその一瞬で結論に至る。